明らかに都会とは違う陽光の眩しさ。
庵に近づくにつれ、空気が澄んでいくことが肌にも胸にも感じられます。
この生成りの自然が残る山里に、陶芸のために建てられた古い民家があります。
敷地内の野原は、鬼ごっこをして駆け回れるほどに広く、側には小川のせせらぎ。建物の裏山は椿に覆われ、登り窯が築かれています。ここの主が、茶道の師範でもある小林先生。都内の高校で国語教師として40年程努める間、教え子たちに茶道と陶芸を教えてきました。
2003年春より居を移し「みんなで遊べりゃいいんですよ」との言葉通り、のんびりと日本の伝統文化と自然にふれる場を作るに至ったのです。レッスンは手びねりから始め、ゆくゆくは電気釜でも良いので、各自で焼けるよう育ってほしいと願っているそう。
遠足気分で朝から日暮れまで過ごし、沢に沈む夕日を見て帰って下さい。お土産に山野草や、山の幸を摘んで帰りたくなる、そんな隠れ家です。
人の心を落ち着かせ、和ませる抹茶。日本に伝えられたのは今からおよそ八百年くらい前の鎌倉時代です。
やがて室町時代そして続く桃山時代に、抹茶を飲みながら豊かな時を過ごす工夫がなされて、日本独特の文化「茶の湯」が生まれました。
その後、茶の湯も時代とともに変遷を続け、風流な遊びから社交接待に至るまで拡がり、やがて稽古事という、作法を中心とした茶道が今日まで続いてきました。
当家もそうした流れをくむ茶家の一つで、江戸千家と称しています。